凶刃―用心棒日月抄 (新潮文庫)



凶刃―用心棒日月抄 (新潮文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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吉宗の時代の市井が目の前に!

最後の用心棒稼業から16年。青江又八郎は嗅足組解散の密命を帯び出府、今度は公務として江戸へ向かった。
しかし、嗅足組み解散には藩の存亡に関わる秘密が根深く絡み、公儀隠密を巻き込んでの暗闘に巻き込まれることとなった。
女嗅足の佐知との時を経た再開とお互いの想い、藩に召し抱えられたはずの細谷源大夫の生き様など時を経てそれぞれの人生が浮き彫りになる。
前3作に比べると、藩の政争に絡んだサスペンスの要素が強く、秘密の解明にたどりつく一つ一つの段階が面白い。
また前作から引き続き登場する佐知や細谷といった人物の生き方にも最後まで目が離せない。
徳川吉宗の時代を武家や商人といった視点で江戸の市井を描くどっしりとした時代小説。
藤沢ワールドの傑作です。

老いへの諦観と希望

「用心棒日月抄シリーズ」最終作。前作から16年の時が経ったという設定で、青江又八郎が四たび江戸に出向く所から物語は始まる。目的は「嗅足組」の解散を佐知に秘密裏に伝えるためである。前三作は短編集形式だったが、本作は長編形式であり、作品の趣きも異なる。

事件としては、幕府隠密、藩内の影の敵との三つ巴の対決だが、全編を覆うのは老いとそれにめげずに生きて行く人間達の営みである。青江もこの時は42才。人生50年の時代では老境に近いと言って良い。それでも立ち回りのシーンは相変わらずの迫力だが、人を殺す場面に寂寞感が漂う。前作で仕官した筈の相棒の細谷はしくじり、妻を狂死させ、荒んだ生活を送る。だが、この男には「きっと何とかなるだろう」という不思議な明るさがある。狸親父吉蔵の娘が結婚しているという設定も微笑ましい。佐知もそれまで任務に疑いを持たずに行動してきたが、殺人をためらうようになる。女性としての魅力は相変わらずのようだが。有為転変の時の流れの中で、登場人物の中に諦観と希望を見い出すというスタンスで書かれているようだ。

また従来から、武士と庶民、藩と江戸、剣劇と下町人情などの様々な対立軸を中心に物語が紡がれていたが、本作では青江の妻由亀が強調される。由亀も心根が優しく芯の強い女性だ。由亀と佐知、新しい対立軸が注目の的。二人の間で揺れ動く青江の心情は贅沢な悩みに満ちている。藩に帰る青江との別れのシーンで、「尼になって青江の藩に行く」と言う佐知の言葉は、青江そして読者に救いを与える。シリーズを締め括るに相応しい叙情溢れるシーンである。

本シリーズの持つ時代小説の面白さに、作者の人生観が織り込まれた味わい深い傑作。
傑作後日談!

あれから16年・・・藩のお役目により再び江戸に出る又八郎。多忙なままに
過ぎ去った年月は自身だけなく、かつての仲間の身にも、優しく或いは残酷
に流れていた。
細谷や吉蔵の現在は?藩の存亡に関わる秘事とは?佐知との深い絆の行方は?
過去最強の刺客との決着はいかに?
過去3作と違うミステリータッチの展開も新鮮に、まさに読みどころ満載の
後日談である。

涙の最終章

用心棒シリーズの最終章。
主人公の青江又八郎が訳あって江戸に出てきてから、約19年後の話。
16年ぶりに江戸に出てきて、昔の親友たちに会い、近況を知り、さまざまな思いを刻みつつも藩のために働く主人公。
親友、細谷源太夫の変わり果てた(?)姿を見て、私も涙しそうになりました。いやっ正直泣いてしまいました。
最後の場面、親友との別れ、仕事を世話してくれた人との別れ、そして、妻とは別の、なくてはならない女性との別れ、もう泣くしかありません。

一巻の『用心棒日月抄』からぜひぜひ読んでほしい!
サスペンス性に重点を置いた人気シリーズの最終巻です

人気の「用心棒日月抄」シリーズの第4作にして最終巻です。第3作から16年、藩士として忙しいながらも平穏な日々を過ごし、又八郎も40半ばの中年にさしかかりました。一方、幕府も100年を経過し、又八郎を助けた秘密の組織である「嗅足組」も不要な時代となり、又八郎は嗅足組解散を告げる密命を帯び、再び、江戸に出府することになります。そこで、嗅足組リーダーである佐知とも再会することになりますが、またもや、藩の存亡を左右する暗闇にまきこまれてしまいます。
前3作と異なり、今回は、藩士としての出府であり、用心棒稼業を通しての市井のユーモアよりも、幕府隠密や藩の黒幕との争いというサスペンス性が中心となりますが、前3作でおなじみの細谷や口入屋吉蔵のその後も描かれています。おなじみの人物の全員が決してハッピーエンドに終わるわけではありませんが、彼らのその後を知りたい方にはお奨めの1冊です。



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